芸術とリキュール
禁断の酒。リキュールに詳しい方であれば、知っていることだと思います。
アブサンと呼ばれるのですが、ニガヨモギを使ったリキュールです。
20世紀初頭にニガヨモギから神経毒成分が発見されたため、代替原料としてアニスやリコリスを使ったパスティスと呼ばれるリキュールになった歴史があるお酒です。(アブサンは、現在、神経毒成分がWHOの定める基準以下という条件で製造が再開されています。)
ところで、アブサンは芸術家にも愛されていたという史実をご存知でしょうか。
オランダの画家ゴッホ、スペインの画家ピカソ、フランスの画家ロートレックやモネ、フランスの詩人ベルレーヌ、アメリカの小説家ヘミングウェイ等は、愛飲していたということでも有名です。
また、日本の文学作品でも登場しています。太宰治の『人間失格』には「飲み残した一杯のアブサン」という一節。芥川龍之介の『河童』には、主人公がアブサンとを大量に飲むシーンが記されています。アブサンが、喪失感や憂いのメタファーとして用いられていたようです。
心身に異常をきたすほど大量に飲み続けた芸術家もおり、自殺者も多く出ています。
もちろん、アブサンだけではなくお酒全般にも言えることですが、飲み過ぎは厳禁です。